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棋戦の予選制度と対局料
日時: 2003/11/04 14:22
名前: 囲碁データベース   <igoigo@jcom.home.ne.jp>

プロ棋戦の予選制度と対局料を知りたい。
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Re: 棋戦の予選制度と対局料 ( No.1 )
日時: 2003/11/04 14:22
名前: 囲碁データベース  <igoigo@jcom.home.ne.jp>

【2003年3月8日 神戸新聞(文化生活部 岡崎丈和)】
囲碁のプロ組織の一つ、日本棋院は2003年から、初段から九段の段位で、高段者ほどタイトル戦予選でシードされる現行方式を改め、段位に関係なく実力に応じた制度を採用した。一度昇段すると降段しない従来の方式では、段位と実力が必ずしも一致せず、改革の必要に迫られていた。長らく囲碁界を支配していた段位偏重のシステムが改まる。

段位偏重を実力主義に/成績に応じクラス分け
これまで日本棋院では、各棋戦の予選で、九段をはじめとする七段以上の高段者を上位にシードしてきた。しかし、新しい予選制度では実力優先。各棋戦の成績に応じ、段位に関係なく、プロ棋士をA―C予選の3クラスに振り分ける。各クラスで昇降を争い、最高のA予選で勝ち進めば、本戦やリーグ入りとなる。

棋戦の方式変更と同時に、段位認定方法も変える。日本棋院では1927年から、棋戦とは別に「大手合」と呼ばれる制度を実施。決められた成績を上げると一段ずつ昇段し、最高段位の九段になると参加が免除される。大手合開始直後は、段位が棋界での実力を反映していた。しかし、段位を下げる規定はなく、九段は増加の一途。現在、棋士約320人のうち、九段は70人を超え、全段位の中で最も多い。現在では若手の中低段者が高段者を破ることが珍しくない。このため、日本棋院では2003年から大手合制度を廃止。タイトル獲得や主要棋戦の通算勝数によって昇段する方式を採る。それでも日本棋院では「段位はイベントやけいこ先での棋士の肩書にすぎなくなる」という。

段位が根拠になり、高段ほど高額になる対局料の方式も見直す。現在4、5倍の差がある九段と初段の対局料は、同じクラスでは同額になる。これによって、勝数の少ない高段者が、勝ち星の多い中低段者よりマネーランキングが高くなるという矛盾が解消される。同棋院の河野光樹五段(29)=千葉県在住=は「段位に関係なく、強ければチャンスが確実に広がる。若手の多くは歓迎ムードで、やる気は満々」と好意的に受け止める。さらに、同棋院・手合課は「棋士の競争心をあおることで、さらに実力がアップするはず。現在、韓国や中国に押されている国際棋戦での活躍につながれば」ともくろむ。

関西在住の棋士を中心に構成するプロ組織、関西棋院はどうか。ほとんどの棋戦で高段者を優遇しているのが実態だ。1999年に始まった実力優先の唯一の棋聖戦予選ですら、今年から高段者にシード権を与える。対局料の格差も広がっており、若手棋士を中心に「時代に逆行している」と批判されている。関西棋院で棋戦改革案を作成する委員の代表、山崎吉廣九段(54)は「棋聖戦予選は不備があり、変更した。来年からは日本棋院と同じように、実力主義の制度に改めるよう話し合いを進めている」と説明している。

予選の対局料の改定
名人戦の予選は1次予選から3次予選まであり、四段以下の「低段者」は1次予選から出場しなければならず、対局料は初段48,000円〜四段64,000円となっています。1次予選を勝ち抜いた低段者と、五段以上の「高段者」が出場する2次予選では、対局料は五段127,000円〜八段171,000円となっています(低段者でも、2次予選に進出すれば五段の対局料がもらえるようです)。さらに、九段は204,000円と、もう一段格上の対局料となっています(3次予選はさすがに段位に関係なく定額のようです)。もちろん、これを支払うのは主催者である新聞社ですが、いずれにしても段位がどんどん上がれば、対局料総額も上昇し、棋戦の運営に大きな負担となることは間違いありません。まさに、多くの民間企業が悩んでいるのと同じような、高齢化、高資格化のなかでの年功賃金の弊害という、同一の構造になっているわけです。

高段者、特に九段の増加による対局料の負担増を解決するために、2003年4月1日から段位と対局料の分離が行なわれるようです。さきほど名人戦の例を見ましたが、囲碁のタイトル戦は、棋戦によって違いはあります。一般的にタイトル戦は、低段者による1次予選、1次予選勝ち抜き者と高段者による2次予選(棋戦によっては3次予選も)を経て、本戦への参加者または挑戦者を決めるリーグ戦への参加者を決めます。本戦やリーグ戦は、そこで一定以上の成績を上げると、翌期もリーグ戦や本戦にシードされます。対局料は予選段階では段位によって決まっていましたが、今回の改定(2003年4月1日)で、1次予選・2次予選などの出場者の対局料を段位で決めるのを止め、対局料は各予選ごとに一律とする、という見直しが順次行なわれるようです。

見直し内容の報道によると、本因坊戦と天元戦の変更内容は以下のとおりです。予選をC・B・Aの3段階として、本戦やリーグ戦と同様に、それぞれの段階の予選で一定の成績をあげれば翌期もその段階に残留し、あげられなければ翌期は一つ下の段階からスタートする、という昇降戦方式を取り入れます。このしくみであれば、今期は予選Cからスタートした低段の若手が、C、Bを勝ち抜いてAに進み、そこは勝ち抜けなかったものの一定の成績を上げれば、翌期は段位に関係なく予選Aからスタートすることができるわけで、より実力主義に近い形になるわけです。この場合、翌期の予選Aに参加するのは、今期予選Aに残留した人のほか、翌期の予選Bを勝ちあがった人と、今期本戦(またはリーグ戦)を陥落した人、ということになります。

また、対局料は、名人戦を例に取ると、予選Cの対局料は13万円、予選Bの対局料は20万円、予選Aの対局料は30万円、最終予選の対局料は40万円で対局料は勝っても負けても同額です。リーグ戦の対局料は勝つと80万円、負けると66万円だそうです。

予選Cより予選B、予選Bより予選Aが高いといった具合に、予選の段階によって格差をつけますが、同じ段階であれば段位での差はつけない、ということになるようです。これにより対局料は実力と成果に応じた報酬ということになるでしょう。逆にいえば、これまでは九段が一次予選に出ることはなく、対局料も高い水準が確保されていたわけですが(もっとも、棋戦の多くはトーナメントなので、勝ち上がらなければ対局数も増えず、収入も増えませんが)、これからは九段でも成績が悪ければ予選Cのスタートとなり、対局料も予選Cの低水準のものになるわけです。

王座戦の従来の対局料
【「囲碁大全」(1996年11月、日本経済新聞社刊P126より】
囲碁界の対局日は高段者が木曜日、低段者が水曜日になっている。低段者とは四段までで五段以上が高段者。両者の間は待遇面で大きな差がある。四段までは1次予選から戦わねばならないが、五段以上は2次予選からの出場となる。対局料の差も大きく、たとえば王座戦の対局料を見ると、初段3万6500円、二段3万7500円、三段4万円、四段4万1000円なのが、五段になると7万9000円と一気に増える。棋士の多くは「入段の次に五段になった時が嬉しい」という。
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