金賢貞
きん けんてい
Kim Hyunjung
キム ヒョンジュン
1979年1月16日生れ

韓国出身
日本棋院・中部総本部所属。吉岡薫七段門下。1998年4月1日入段。2003年三段。2015年2月13日四段(勝ち数=50勝昇段)。
中根直行八段は夫。
棋風:
揮毫:

日本棋院の情報
【2013年10月20日 中日新聞「家族のこと話そう」(聞き手・白井康彦、写真・山田欣也)】
15歳のとき、一人で日本に来ました。韓国にいる家族は両親、私より二歳上の兄、二歳下の妹です。妹は今、韓国のプロ囲碁棋士。私といい勝負かな。あんまり勝った記憶はないけど…。父の囲碁の腕前は、アマ六段ぐらい。会社を経営していたのですが、私が小学4年の冬に囲碁を覚えた後は、スパルタ教育に熱中。私をあちこちの碁会所に連れていきました。そんな父に幼い妹は納得できなかったようでした。もともと負けず嫌いで、父を姉に取られたくないから、妹も囲碁を覚えたわけです。兄も一緒に囲碁を始めたのですが、見込みがないと思われたのか、まもなく父にやめさせられ、勉学の道に進みました。
中学3年のとき、韓国でプロになるための試験を受けました。でもだめでした。高校に進むことになったのですが、ぼーっとしていましたね。当時、日本にいた祖母を訪ねて一人で日本に旅行。それがきっかけで祖母の後押しもあり、日本でプロ棋士になる道が開けました。父は認めてくれました。娘に囲碁をやめてほしくなかったのでしょう。韓国では受験勉強が厳しく、このままではプロ棋士にはなれない、と思ったのかもしれません。
◆結婚相手も棋士
日本で修業してプロ棋士になり、8年前に結婚した相手もプロ棋士(中根直行八段)。今は小学1年と保育園年少の息子がいます。夫の母がすてきな人で、会うたびにエネルギーがもらえます。料理もおいしいです。そのせいもあるのか、夫はダイエットしてほしいくらいの体形。ビールをたくさん飲み、料理にもこだわる。家でも料理を作るクッキングパパなんです。子どもが生まれ、韓国から母が育児の助けに来てくれるようになりました。母は昔は囲碁が嫌いだったのです。娘の勝敗によって、父の気分が暗くなったりしていたので…。ですが、日本で母を囲碁の女性教室に誘ったときから変わりました。言葉がうまく通じないのに、熱中し始めたのです。その母もしばらく日本に来られなくなりました。今年の春、妹が第一子を出産し、そちらの手助けが忙しくなったのです。
◆わが子にも期待
今は囲碁の国際棋戦の成績は中国、韓国、日本の順。中国や韓国は、子どものときから囲碁の天才を育てていくシステムができています。日本でも、今まで以上に子どもの囲碁教育に力を入れてほしいと思います。そんな思いもあって今年八月、地元の名古屋市東区にオープンした子ども対象の囲碁教室「IGO Story」で講師をしています。教室に通うお母さんたちには囲碁の楽しさ、良さを話しています。自分の子どもが囲碁ができないのでは説得力がありませんから、夏休みは長男も教室にいました。彼が囲碁嫌いにならないようにしなければなりませんね。
 <金賢貞(キム・ヒョンジョン)> 1979年、韓国ソウル市生まれ。94年に来日。日本棋院中部総本部の吉岡薫七段に入門。98年に初段、2002年に二段、03年に三段。囲碁の普及活動にも努める。名古屋市在住。夫の中根直行八段と一緒にタイトル戦などの大盤解説をすることも多く、「夫婦漫才みたい」と好評だ。