金成進
キン・セイシン
강승민
Kim Sungjin
キム・ソンジン
1989年8月13日生れ

元韓国棋院院生。その後、日本に在住。2011年第18期阿含桐山杯全日本早碁オープン戦で本戦出場(16人)を果たした。韓国帰国後、2011年8月20日入段。2012年6月29日二段。2013年11月18日三段。2015年8月27日四段。
棋風:
渾名:
タイトル獲得数:0個(うち世界タイトル:0個)
対局日棋戦名年齢コメント
韓国棋院の情報
写真(21歳) 写真(22歳)
【2011年7月19日 毎日新聞東京夕刊Crossroads(金沢盛栄)】
プロとアマチュアが同じ条件で対戦する第18期阿含桐山杯全日本早碁オープン戦で、前代未聞の“事件”が起きている。韓国出身のアマ2人がプロ棋士を次々と倒し、16枠の本戦トーナメントに勝ち上がったのだ。“韓流”が活躍する日本囲碁界で、さらなる旋風を巻き起こしている。
2人は、金成進(キムソンジン)さん(21)と河成奉(ハソンボン)さん(29)。金さんは本戦1回戦で井山裕太名人に討ち取られたが、河さんは本戦でも溝上知親八段を破り、ベスト8進出を決めた。ともに韓国のプロ養成機関、韓国棋院の研究生として、10代からプロを目指してきた。アマ転向後は、各種棋戦で活躍した。河さんは2009年に来日。以来、東京で、プロを目指す子らを指導しながら、自らも勉強を重ねてきた。金さんは2010年春に来日し、研究を積んできた。
阿含桐山杯は、アマも参加できる唯一のオープン戦。プロ棋士約300人に交じって、アマ本因坊戦などで上位入賞したアマ20人が、ハンディなしで勝負する。アマが本戦に出場するには、予選Cから出場し、B→A→最終と勝ち抜かなければならない。同杯の歴史で、アマが最も勝ち上がったのは予選Aまで。アマ時代の坂井秀至碁聖、洪清泉(ホンセイセン)初段ら多くの強豪が何度となく挑んだが、最終予選が厚い壁となっていた。ところが河さんらは、プロ棋士に7連勝。初参加で本戦まで一気に駆け上がった。
溝上八段は名人リーグに在籍するトップ棋士。「私の出来が悪く、ボロボロでした。向こうが力を出す前にやられた感じ。強かった」と感心した。河さんの次の相手は本因坊道吾(どうわ)。7月25日の対局が決まっている。「すごい人と打てて、うれしい。100%の力を出せるよう、全力を尽くす」と意欲を燃やす。一方、金さんの快進撃を食い止めた井山名人は「負けてもおかしくない内容で、苦しい局面が多かった。実力で勝ち上がってきたと思う」と最大級の賛辞を贈った。
今回の“事件”で見えてくるのは、韓国囲碁界の層の厚さだ。世界トップを走るプロ界はもちろんだが、その下のプロ予備軍、アマまで充実している。「河さんレベルのアマは韓国に20〜30人はいると思う。河さんが韓国のアマ大会に出たとしても、優勝するのは難しい」。2人と同じ韓国棋院の元研究生で、来日してプロになった洪初段は明かす。背景には、韓国での囲碁熱の高さがある。トップ棋士の知名度や人気は日本の比ではなく、子どもたちの憧れの的。また囲碁の教育的効果も高く評価されている。そのため、ソウルを中心に10以上の専門の囲碁道場があるという。プロを目指す子どもや研究生が寮に住み込み、囲碁漬けの毎日を送っている。どの道場にもプロ棋士が出入りし、厳格なプログラムを基に研究、実戦を行っている。「道場で鍛え合い、試合で戦う。勝利への執念もすごい。日本にこんな環境はない」と洪初段。
世界戦で、韓国などに大きく水をあけられている日本囲碁界。韓国アマ2人の快進撃が、警鐘を鳴らしている。