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囲碁棋士と会社員の「リアル二刀流」芝野龍之介二段  棋士の新しい生き方とは
【2021年7月24日(土) 日刊スポーツ(内藤由起子囲碁観戦記者・囲碁ライター)】
芝野龍之介二段が就職したとSNSでつぶやいていた。それも週に5日しっかり働く会社員だという。棋士で会社員は異例の存在。なぜ二刀流を選んだのか、聞いてみた。今年4月、一力遼天元は早稲田大学を卒業して、家業でもある河北新報社に就職した。棋士と会社員の兼業を発表して世間を驚かせたが、業界では既定路線だったので当然として受け止められていた。一力天元が子どものころ、プロを目指そうとしたとき、父親(河北新報社 一力雅彦社長)が師匠となる宋光復九段に「棋士と会社員の兼業はできますか」ときき、大丈夫だということを確認したという。一力天元は運命享受(?)で会社員になったが、芝野龍之介二段は自分の意志で就職したのだ。それも株式会社「ミリオンダウト」というゲームアプリの会社で、囲碁とは関係がない。芝野二段はエンジニアとして働いているという。手合い優先ではあるが、週に5日働く。率直になぜ?と聞いてみると、「漠然と将来が不安になって、就職しようと思いました」という。芝野二段は子どものころ囲碁にはまり、すぐにプロになりたいと思った。小学5年生から「洪道場」に通う。ちなみに、弟の芝野虎丸王座は、「兄のついでに」一緒に通わされ棋士になり、史上最年少19歳で名人にもなっている。芝野二段、なりたかった棋士になってそれでよかった、では終わらなかった。芝野二段がプロ入りしたのは19歳のときだ。毎年プロ試験を受け続けていたが、1回、大学受験のために受験を休んだ。東京理科大学に合格し、そしてプロ試験も合格。もうそのときから、棋士になることと同時に「適当に大学に行って、ぼんやりと就職する」という将来像として持っていたという。就職は安定志向の表れ。棋士が就職するのは珍しいという自覚もまったくなかった。大学在学中の2020年6月、「漠然と将来が不安になっていた」ところ、ミリオンダウトの社長から会社に入らないかと声がかかった。「ミリオンダウト」は社長が10代のときに考えたゲーム。強くなる人の特徴として、
@数字に強くてロジカル
A運のせいにしない
B人のせいにしない

このゲームの上位になると採用候補になるのだが、芝野二段は囲碁棋士という特殊な資格から注目されたのだ。芝野二段は3カ月かかり上位にランクされ、10月から業務委託の形で週3日働くことになった。社内には「変な人がいっぱいいます。社長が一番変な人」と芝野二段はいう。15人ほどの社員のなかには、東大をやめてプロジェクトマネージャーをやっている人、東大を卒業して金融庁に就職してから転職した人、MENSA会員(2人も!)や東大医学部学生も働いている。もともと芝野二段、ゲームは囲碁以外も得意なのだ。桑名七盤勝負(囲碁、将棋<アマ三段>、オセロ、チェス、どうぶつしょうぎ、バックギャモン、連珠)の世界ランキング1位だし、囲碁クエスト(スマホアプリ)でも30万人中1位だ。「色々なゲームをやるのが楽しい。連珠の定石などの暗記したり、将棋ソフト見たり。常に時間が足りません」

今年4月からは正社員として入社。ミリオンダウト社は4カ月ほどでひとつ、アプリでできるカードゲームを作り上げた。ふつうは2、3年かかるそうで、驚異のスピードだという。芝野二段も企画として加わった。芝野二段も企画に携わった、8月にリリースされる「東方ドールドラフト」も紹介しておこう。
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