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張栩九段が10期ぶり名人奪取 井山名人を4勝3敗で破る
【2018年11月2日 朝日新聞(大出公二)】

 3勝3敗のタイにもつれ込んだ第43期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第7局は11月2日、静岡県河津町の旅館「今井荘」で打ち継がれ、午後6時34分、挑戦者の張栩(ちょうう)九段(38)が井山裕太名人(29)に271手で白番4目半勝ちを収め、タイトルを奪取した。10期ぶり通算5期目の名人獲得となる。2009年に井山に敗れ、名人を失って以来の出場となる今期七番勝負は、1勝3敗から3連勝の逆転で雪辱を果たした。通算タイトル獲得数は歴代7位の40となった。張は井山の台頭前、七大タイトルのうち五冠を占める最強棋士だったが、13年に無冠に。翌年からタイトル挑戦にも届かず低迷していたが、現在最強の井山を破り、復活を遂げた。昨年に名人を奪還して七冠に返り咲いた井山は、今期名人戦直前の碁聖戦に続く失冠で五冠に後退。同時に七大タイトルで序列上位の名人、棋聖、本因坊を併せ持つ「大三冠」も崩れ、囲碁界の井山1強の構図が揺らいでいる。

 《張・新名人の話》 夢みたい。最終局まで行って、いい内容で勝つのが理想的と思っていたが、まさか実現するとは。井山さんは強かったが、一生懸命やっていれば流れが来ると信じて諦めなかった。久しぶりの番勝負で多くの方の応援が実感でき、力になった。

 《井山名人の話》 敗れた4局で、勝機がある対局もあったが、大事なところでミスが多く出たのが残念。重要な対局がまだ続くので、切り替えて頑張りたい。

■微細なヨセ勝負を制す

 序盤から黒番の名人が地を稼ぎ、黒の実利、白の勢力という一局の骨格が固まった。挑戦者は白60と中央に一着投じ、上辺と左上の鉄壁と連動して大地を囲おうとすると、名人は左辺中央から黒65と深く踏み込んだ。この黒の一団をめぐる攻防が焦点とみられたが、挑戦者はあっさり黒を生かしヨセ勝負にかけた。見た目の領地は少ない白だったが、隙のない構えを利して追い上げ、微細な形勢に。最終盤、右辺中央の白172からコウを仕掛けて勝負を決めた。持ち時間各8時間のうち、残り時間は名人2分、挑戦者59分だった。
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