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将棋と囲碁 プロ棋士の収入はいくらなのか?
【2018年5月11日 日刊ゲンダイ「田丸昇九段「と金」つれづれ草 」】

 今年2月に羽生善治竜王(47)と井山裕太七冠(28)が国民栄誉賞を同時に受賞したことから、メディアの企画で将棋界と囲碁界がよく比較される。4月下旬にフジテレビ系列で放送された「さまぁ〜ずの神ギ問」という番組では、「将棋のプロってすごく儲かるらしいけど、囲碁のプロはどうなの?」というテーマが取り上げられた。主な収入源の「賞金」「対局料」「基本給」を、対局に模して比較する演出である。

 第1局は、最高の賞金額。私が「将棋界では竜王戦の4320万円」と語ると、白石七段は「囲碁界では棋聖戦の4500万円」と応じ、「囲碁の世界大会では賞金5000万円の棋戦もあります」と付け加えた。将棋の竜王戦と囲碁の棋聖戦の主催者は同じ読売新聞社だが、契約金の差によって棋聖戦の賞金のほうが少し高い。第1局は、囲碁棋士が勝った。

 第2局は、対局料の単価。両団体の将棋連盟と日本棋院は、原則として公表していない。いずれにしても、対局に勝たなくては対局料の総額は増えない。第2局は、引き分けといえる。

 第3局は、月額の基本給。これは連盟と棋院でシステムが異なる。将棋棋士は、名人戦の予選リーグに当たる順位戦のクラスによって基本給が決まる。最高額は名人で、A級〜B級〜C級(計5クラス)という順で査定される。なお、1クラスの昇級で3割ほど増額するが、降級すると3割ほど減額する。囲碁棋士は、前年の賞金ランキングを基にして、基本給は少しずつ増額する。不成績で減額することはないという。私が白石七段に現在の金額を問うと、「デジカメが買える程度ですかね」と苦笑しながら答えた。月額の基本給も連盟と棋院は公表していない。

■26年前に田丸はA級で月額基本給は60万円

 私は、過去の順位戦でA級・B級・C級・フリークラスと、すべてのクラスに在籍していた。そこで2年前に現役を引退した立場もあり、明細書や記憶を基にして、番組で私の基本給の公表に踏み切った。その金額は26年前で、A級で約60万円。その後、B級2組で約30万円、C級2組で約20万円、フリークラスで約10万円。ただ棋士によって個人差があり、過去と現在では支給基準が違っている。あくまでも私に限ってのケースだ。第3局の基本給は、将棋棋士が勝ったと思う。

 現役の将棋棋士は約160人。同じく囲碁棋士は400人以上。単純に人数で比較すれば、経済面では将棋棋士のほうが全体的に恵まれていると思う。しかし、棋士生命という点では大きく異なる。将棋棋士は順位戦の成績不良によって引退に追い込まれるが、囲碁棋士の引退は任意である。
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