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価値の大小を見極めよう(その2)
【「週刊碁」2018年1月1日号「木部夏生の盤上キャンバス」より 2018年12月25日発売】

エリートマインドゲームズの中から虎ちゃん(芝野虎丸七段)と韓国No1の朴廷桓九段の男子団体戦を取り上げました。虎ちゃんの碁は独創的で魅力的な碁ですから、見ていて本当に楽しいですよね。


黒5には白aが定石ですが、工夫しました。お互いに「相手の言いなりにはならない!」という面白い攻防が繰り広げられています。勉強になりますね。
(2017エリートマインドゲームズ・男子団体戦 △芝野虎丸 VS 朴廷桓)


@普通に打つと…白9までが慣れ親しんが定石ですが、この定石では、上辺は発展性がない上に、黒10と右辺の黒模様に芯を入れられては白が面白くありません。

A先手を取るハイ…@図の白1では白が面白くない。そこで白は1、3と右上を先手で切り上げて、白5と右辺に打ち込み。白1、3は場合の手ですが、現局面で一番大きいのは右辺なのでこの手がピッタリです。右辺に先着するのが大きいのです。右辺の黒一団は上辺にハネていないので断点がなく比較的強いから、白も白5と右辺の黒に寄りつきます。

B厚みが重複…白が中央に出れば、右辺の黒が分断できる。黒1と遮るのは当然に見えて甘い。白10まで生きられて、黒の得たものは少し地を増やしただけです。

C反撃のツメ…B図は不満ということで、黒1と反発したのは当然。黒は右辺の黒壁を生かして右辺の白2子を攻めたい。厚みは地にするのではなく、攻めに活かしてこそです。

D連絡は重い…白も白1と1子を繋がるのは重い形。△と▲が悪手になり、黒4まで封鎖されてしまいます。これは白が不十分です。

E押し上げ…白1と押し、白は一歩でも早く中央に進出する。△は連絡するより、むしろ白aから打って捨てたい石なのです。

F手抜きで大場へ…E図は黒イマイチですし、他の攻めもどうやら良い図ができないようです。ならば黒は手抜きして大場に向かいます。黒も右辺中央の白の中央への脱出を止めれないなら、右上の黒一団を強化してから右辺中央の白を攻めましょう。一見気持ちのいいマゲですが…。

G価値の大小…黒の▲のマゲは絶好ですから右上の白一団の格好は普通は白がつらいのですが、この場合は△の切っ先が黒の厚みを消しています。これで右辺中央の白がどうなるかが勝負となりました。

右上三々に入ってからの一連の流れは、大きい右辺で居直った白が主張を通した格好といえるかもしれません。この碁は残念ながら朴廷桓九段の中押し勝ちに終わりました。

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