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井山裕太の体力作りは「ビリーズブートキャンプ」?
【2017年11月6日 「週刊新潮」2017年11月2日号 掲載】

強さの秘訣は何か。囲碁の井山裕太(28)が、昨年一度失った“七冠”を奪還。目下、国内では向かうところ敵なしである。その“史上最強棋士誕生”の裏には、かつて大ヒットした、“ビリー隊長”によるエクササイズ「ビリーズブートキャンプ」があった。
井山が“七冠”の座に返り咲いたのは、第42期名人戦で高尾紳路名人(41)を下した10月17日のこと。観戦記者によれば、「井山は、昨年4月に囲碁界初となる本因坊、碁聖、名人、王座、天元、十段、棋聖の七大タイトルすべてを獲りました。が、約半年後に行われた名人戦で、今回、対局した高尾に負けて、六冠になっていたのです」。一度、七冠を獲るだけでも前例のないことで、それを2回も獲ったのだから、「奇跡の中の奇跡ですよ」とは、井山の師匠にあたる石井邦生九段。「七冠に復帰するのは、初めて制覇した時より、難しいと思います。なぜなら、達成するまでは“攻め”の気持ちですが、“守り”は重圧も掛かる。今回、彼は六冠を守りつつ、“名人”を破ったわけですから」。例えるなら、大相撲の年6場所で全勝優勝するほどだというから、強靭な精神力の持ち主であるに違いない。「碁聖」のタイトルを獲得した経験を持つ坂井秀至八段によれば、「囲碁は脳を酷使する競技ですから、思いのほか肉体的消耗が激しいと言えます。朝から夜中まで戦って対局を終えると寝付けませんし、翌日も疲れて何も手につかなくなる。体力がなければ、集中力も途切れてしまいますから、体力作りに励む棋士は多い」。では、井山の場合はどんな体力作りをしているのか。それが、意外なことに「ビリーズブートキャンプ」だったのである。ご記憶の方も多いと思うが、筋肉隆々の黒人“ビリー隊長”が考案した軍隊仕込みのエクササイズ。「声が小さい」「君なら出来る!」など、叱咤激励のセリフがウケて、10年ほど前に一大ブームとなったDVDだ。井山の父親・裕さんは、「あれは流行っていた頃に、私が自分のために買ったら、裕太が始めたのです。囲碁で負けないために、体力をつけようと考えたのかも知れません。でも、やっていたのは数カ月じゃないかな」。どちらかと言えば“オタク”のような容姿の井山が、「ブートキャンプ」とは想像しづらいが、いかに偉業をなした者であっても、“健康器具”が長続きしない点は、凡人と一緒のようだ。もっとも、プロ入りした02年から昨年までですでに約10億円の賞金を稼いでいる井山だから、現在はテレビの前で1人、エクササイズというわけではない。先の記者が言う。「井山は東京と大阪、名古屋のそれぞれにタワーマンションの部屋を持っています。マンション内のジムで体力作りをしているそうです。でも“肉が付かない”とこぼしていました。井山の世界ランクは5位ですが、彼の上に中国、韓国の棋士がいます。トップ棋士たちは皆、体格がいい。世界一を見据える彼にしたら、もっとガッチリとして、体力をつけたいのでしょう」。今一度、ビリー隊長の言葉を信じてみては。「君なら出来る!」。
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