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一力遼七段、2タイトル戦に挑む 20歳に6冠の壁 天元戦、王座戦で10番勝負
一力遼七段、2タイトル戦に挑む 20歳に6冠の壁 天元戦、王座戦で10番勝負
【2017年10月10日 河北新報】
井山裕太6冠(28)=棋聖、本因坊、王座、天元、碁聖、十段=に仙台市出身の一力遼七段(20)がダブル挑戦する第43期天元戦と第65期王座戦が10月11日の天元戦第1局を皮切りに始まる。名人戦に挑戦中の井山6冠は、再び7冠同時制覇を目指しながらの防衛戦。一力七段は初の7大タイトル獲得が懸かる。両棋戦合わせて10番勝負となる。2人に対局の抱負を聞いた。

◎一力遼七段/一生懸命打つ
昨年、初の挑戦手合を経験し、またこの舞台に帰ってきたいという気持ちになりました。今期本戦は苦しい碁もあって厳しい道のりでしたが、連続挑戦できてうれしいです。今年5月、井山さんと一緒に国際戦に出場しましたが、国際戦への強い意欲を感じましたし、実際に厳しい手を打たれています。この秋は王座戦も含め、たくさん対戦できるのが楽しみ。前期は井山さんとの差を感じたシリーズでしたが、まだ近づいているようには感じていません。大変な5番勝負になるでしょうが、一生懸命打ちたいです。

◎井山裕太6冠/激しい展開に
昨年、7冠同時制覇を達成して肩の荷が下りた部分があり、より自分の打ちたい手が打てているように感じます。また、今年は国際戦にいつもより多く参戦できるようになり、充実した日々が過ごせています。一力さんは例年以上に成績が良く、若手の中では一番強い棋士だと思います。天元戦は2期連続挑戦ということで、5番勝負の雰囲気も分かっており、さらに力を発揮してくるのでは。前期は全面戦争のような激しい碁になりましたが、今期もそのような展開になるでしょう。自分の碁をしっかり打ちたいですね。

一力遼(いちりき・りょう)1997年、仙台市生まれ。宋光復九段に入門し、2010年にプロ入り。13年、若鯉戦で優勝。14年、史上最年少の16歳9カ月で棋聖戦リーグ入りを果たし、同時に七段昇段。同年、グロービス杯世界囲碁U−20戦と新人王戦で優勝した。昨年は竜星戦で優勝後、天元戦で7大タイトルに初挑戦した。オーソドックスな打ち方をする本格派。



<一力七段 2タイトル戦に挑む>天下分け目の10番勝負
【2017年10月10日 河北新報(河北新報囲碁記者 田中章)】
井山裕太6冠(28)=棋聖、本因坊、王座、天元、碁聖、十段=に仙台市出身の一力遼七段(20)がダブル挑戦する第43期天元戦と第65期王座戦が11日の天元戦第1局を皮切りに始まる。名人戦に挑戦中の井山6冠は、再び7冠同時制覇を目指しながらの防衛戦。一力七段は初の7大タイトル獲得が懸かる。

◎第43期天元戦 第65期王座戦、11日開幕
井山裕太6冠は昨年11月、名人を失冠し、7冠から6冠に後退した。だが、直後に王座、天元戦を防衛し、今年に入ってからも棋聖、十段、本因坊、碁聖戦で挑戦者をことごとく退けて6冠を堅持し、日本囲碁界の第一人者であることをあらためて印象づけた。現在、7冠復帰を目指して戦っている名人戦でも3勝1敗と好調。本人も「ここ数年で最も調子がいい」と言っているように棋士人生の中で今が絶頂期だ。碁を組み立てる序盤の構想力、深い読み、劣勢になったときに紛れを求め、逆転してしまう対応力はますます磨きがかかり、他の追従を許さないレベルに達している。死角がなく、多くの対戦相手は「どう打てば勝てるか分からない」と井山6冠の碁を分析しても勝てる要素を見いだせないでいる。

昨年、天元戦で井山6冠に挑戦した一力遼七段は1勝3敗で涙をのんだ。「総合的に見てまだ及ばないところが多い」と差を認める。それから1年、悔しさをバネに囲碁に取り組み、今年これまで40勝10敗と勝率8割の成績を挙げている。師匠の宋光復九段は「前より深く踏み込み、ぎりぎりの手を打とうとしている」と話す。40勝の中には、わずかな隙を突いて一気に相手の石をつぶし、圧勝した碁がかなりあった。碁の内容が一層厳しくなったと評価が高い。

両者の対戦成績は井山6冠の5勝3敗。8局ともどちらかの中押し勝ちで、僅差の作り碁となった勝負はない。それだけ激戦になる碁ばかりだった。今度の天元、王座戦の合計10番勝負も厳しい戦いが予想される。両者とも妥協しないで最強手の応酬となりそうだ。一力七段は「これまでの対局と同じように激しい戦いの碁になると思う。ねじり合いの中で勝機を見つけたい」と意気込みを語る。

井山6冠が防衛すれば天元戦、王座戦とも3連覇となる。一力七段が天元を奪取すれば第37期の井山十段(当時)の22歳5カ月を大幅に更新する最年少獲得記録となる。王座を第4局までに獲得すると第24期で趙治勲七段(当時)が作った20歳5カ月の最年少記録に並ぶ。一力七段は棋聖戦でも挑戦者決定戦まで勝ち進んでおり、勝てば来年1月からの7番勝負で再び井山6冠と対局する。「井山VS一力」戦は今後、囲碁界の雌雄を決する熱くて長い戦いになる。



<一力七段 2タイトル戦に挑む>勝負の行方は?蘇耀国九段と秋山次郎九段が対談
【2017年10月10日 河北新報】

井山裕太6冠(28)=棋聖、本因坊、王座、天元、碁聖、十段=に仙台市出身の一力遼七段(20)がダブル挑戦する第43期天元戦と第65期王座戦が11日の天元戦第1局を皮切りに始まる。名人戦に挑戦中の井山6冠は、再び7冠同時制覇を目指しながらの防衛戦。一力七段は初の7大タイトル獲得が懸かる。第39期天元戦挑戦者の秋山次郎九段(39)と、両対局者と交流が深い蘇耀国九段(38)に勝負の行方を占ってもらった。

◎一力、自信が確信に/井山、まだ強くなる
−天元戦の本戦を振り返って
秋山 一力七段の他に許家元七段が準決勝、本木克弥八段と大西竜平二段が準々決勝と、若手が勝ち残った。
蘇 若手の活躍でわれわれの世代が大変になった。その中で山下敬吾九段だけは若手に強く、今年の碁聖戦で挑戦者になった。
秋山 天元戦の挑戦者決定戦は山下九段が押していたと思ったが、終盤で頑張りすぎて、逆転を許した。
蘇 山下九段は勝ち碁を落とすタイプではないので、それだけ一力七段のプレッシャーがすごいのでしょうね。
−一力七段の調子は?
秋山 今年はすごく勝っている。負けたのは国際戦が多いが、そこで勝っていてもおかしくない実力をつけてきた。
蘇 以前は早碁に強いイメージでしたが、5時間の棋聖戦Sリーグや3時間の天元戦と王座戦など、各棋戦で勝っています。
秋山 以前は実利を意識した打ち方をしていたが、最近は四線、五線に打って、戦いを重視しているのかなと感じます。
蘇 今夏に対戦したとき、これまで感じなかったオーラ、雰囲気があった。もともとあった自信が確信に変わったように感じた。
−対する井山天元は?
秋山 何事もなかったように勝って、再び7冠同時制覇を目指している。すごいとしか言いようがない。
蘇 時間をかけて、われわれ世代に勝ち続け、トップまで上がってきた。近年いい勝負をしているのは、高尾紳路名人だけですね。
秋山 常に新しい工夫の手が出てくるので、よく研究していると思う。まだまだ強くなっていくように感じる。
蘇 とにかく勉強量がすごい。日本棋院のサイト「幽玄の間」でインターネット中継されている棋譜はすべてチェックしているし、時間が合えば研究会にも参加している。
−見どころは?
秋山 前期全4局は、序盤から激しい展開になって作り碁にならなかった。今期も同じような展開になるかと思う。
蘇 昨年のタイトル戦の中でも、一番やり合っていた。スタートから互いに石を取っちゃうぞという感じで。そこですごいと思ったのは、井山天元が一力七段を力でねじ伏せたところです。
秋山 両者は似ている部分がある。どちらもガンガンやっていくタイプなので力勝負になる。読みがしっかりしていてヨセも強いので、難解な終盤戦を見てみたい。
蘇 一力七段は自分のペースで戦いたい。井山天元のいいところが出てしまうと無敵だから。
秋山 技術的にはまだ井山天元の方が上だと思うけど、どちらが勝つかは分からない。3局で終わることはないでしょう。
蘇 僕も技術的には井山天元だと思うけど、天元戦は若手がよく勝っている棋戦。一力七段はわれわれ世代と違い、井山天元への苦手意識はないでしょう。臆せず、思い切って戦える。
秋山 一力七段が勝つにしても、フルセットになるかと思う。そろそろ若手が井山天元からタイトルを取ると面白いかなと。
蘇 一力七段には勢いがある。ただ、王座戦とのどちらかで結果を出さないと次のチャンスが約束されないぐらい、一力七段の下の世代が迫ってきている。一力七段にとっても勝負の秋になりそうです。
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