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宋光復九段、盟友との対局で打った「幸運の一手」
【2017年10月6日 『NHK囲碁講座』2017年8月号より】

弟子たちの目覚ましい活躍を厳しく温かく支え、見守り続ける宋光復(そう・こうふく)九段。今回は、ご自分の若かりしころも振り返りつつ、院生時代以来、親交の深い小松英樹九段との一局から、印象深い一手を語っていただきました。

■目標のNHK杯で同期対決

初めてNHK杯に出場させていただいた年の、小松英樹さんとの一局から、今回の一手を選ばせていただきました。NHK杯は、入段したときから「出たい」と思っていた一つの目標の棋戦でした。終わってみて、反響が大きかったものですから、そちらに少し驚いた覚えがあります。録画したテープを送ってくださった方もいて、私は自分の姿は恥ずかしくて見られないので、見ずに保管してあります(笑)。

1回戦は石井邦生先生に運よく勝たせていただいて、2回戦は小林覚先生になぜか勝てたのですね。不思議ですね。そして、3回戦が小松さんでした。小松さんとは、同期の入段でした。院生のころから仲がよく、当時のエピソードは、どれを話したらいいのか分からないほど数多くあります(笑)。プロになってからは、小松さんは若手棋戦で次々優勝し、リーグの常連になり、同期の中でも別格という印象でした。「私も」という気持ちは、もちろんあったのですが、なかなかうまくいかない時期が続いていました。ですから、この対局も、勝負うんぬんというより、何とかいい碁を打てればという気持ちで臨みました。よく知っている相手なので、逆に打ちやすかったということはあったかもしれません。

小松さんとは、ずっと親しいのですが、特に、私の一番弟子の安斎(伸彰七段)から、平田(智也七段)、一力(遼七段)と弟子たちを彼の研究会に入れていただいて、みんな強くさせてもらっているんです。ですから、親友ですけれど、恩人でもありますね。実は、今回のこの碁も、弟子たちにも見てもらいました(笑)。ふだんから、自分の打った碁で分からないことは弟子に聞いています。弟子だろうが師匠だろうが、盤上では対等ですからね。みんな個性が違うのでいろいろな反応があって、判断のしかたもいろいろあって、発見が多くて勉強になりますね。(略) この碁は、最後に小松さんのミスがあり、7目半勝ちとなりましたが、実際には1目半か半目の差でした。NHK杯で三つも勝てたのは、無欲で臨んだ結果だと思います。

■弟子たちと共に成長したい

私の同期は、小松さんだけではなく、マイケル レドモンドさん、藤澤一就さん…皆さん、弟子が活躍するようになりました。忙しくて、昔のように時間を取れなくなりましたが、一度集まって「私たちも頑張ろう」というような話をしたいなと思います。私はこれからもマイペースで碁に向き合っていきたいですね。弟子たちとの勉強は楽しく、その時間も生かして少しでも成長していきたいと思っています。

弟子の指導法は、よくお話をさせていただいている安藤武夫先生からよいお言葉、アドバイスをいただいて実践しています。例えば、囲碁は精神状態が大きく作用しますので、一緒に食事をする時間をしっかり取るようにして、いろいろ話し合っています。弟子が入段を決めたときは、うれしかったですね。こんなにうれしいことがあるのかというくらい。なぜか入段の知らせを新幹線の中で聞くことが多いのですが(笑)、早く顔を見たくて東京に飛んで帰りたかったのを覚えています。いろいろ苦労はあっても、よい知らせがあると全部吹き飛んじゃいますね(笑)。
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