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囲碁界も多士済々=大橋拓文(囲碁棋士)
【2017年9月4日 毎日新聞東京夕刊】

お隣の将棋界が、藤井聡太四段(15)の29連勝で大フィーバーしたことは記憶に新しいですね。その藤井四段がデビュー戦で当たったのは、「神武以来の天才」と謳(うた)われた加藤一二三九段(77)。その後引退されましたが、テレビのバラエティー番組などで大活躍しておられます。

さて囲碁界ではどうでしょうか。将棋界ほど一般的に知られているとは言えませんが、実はキャラクターが豊富です。プロになって3年足らず、17歳で竜星を獲得したのが芝野虎丸七段。この優勝で三段から七段へ一気に飛び級しました。芝野虎丸竜星となると名前がとてもカッコいいですね。しかし、実は囲碁界にドラゴンはたくさんいまして、芝野七段の兄は芝野龍之介初段(19)。この兄弟、とても仲が良いのが「はた目から」ではなく、「ツイッターを見ると」分かります。そして芝野七段のライバルが大西竜平三段(17)。大西三段は初出場した新人王戦で優勝するという記録を作りました。缶コーヒーBOSSのCMにも出るなど、早くもイケメンの片りんを見せています。ただ、みんなちょっとシャイ。ぜひネットなどで検索していただけるとうれしいです。

一方ですごいとしか言いようがない大先生がいます。杉内雅男九段と杉内寿子(かずこ)八段の夫妻です。それぞれ大正9(1920)年、昭和2(1927)年の生まれで96歳と90歳。お二人とも現役です。先に紹介した「竜虎」らばりばりの若手棋士と戦い、見事に勝つこともしばしば。僭越(せんえつ)なのを承知で申しますと、100歳を間近に戦えるのは、日々の鍛錬のたまものではないでしょうか。というのは、杉内九段は最新の棋譜をネットでチェックしていて、「昨日の本因坊戦はケイマが敗着でしょう」などと不意に話しかけられて不勉強で焦った若手棋士は一人ではありません。そんな囲碁界の頂上は井山裕太6冠(28)です。井山6冠らと棋士仲間5人でボクシング観戦をしたこともあり、やはり日々敢闘精神を磨いているのだと感じました。=毎週月曜日に掲載します
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