トップページ > 記事閲覧
欧米流の楽しみ方=大橋拓文(囲碁棋士)
【2017年8月21日 毎日新聞東京夕刊「ブックマーク」】
7月27日から8月7日まで、ドイツで行われた「ヨーロピアン碁コングレス」に行ってきました。出場者は1000人近くという大規模な大会です。1957年から各国持ち回りで続いており、今年で61回目。ヨーロッパでも囲碁は確実に広まってきています。私自身も4回目の参加となり、ヨーロッパの雰囲気に慣れてきました。主な仕事は指導碁、検討、そして講義です。皆さん熱心で質問もたくさんされます。交流しながら一緒に楽しみました。

今回特に感じたことは、ヨーロッパでは囲碁はエンターテインメントになっている、ということでした。コングレスは避暑地や観光地で開催されるのが常で、参加プランも好きに選ぶことができます。メイントーナメントと多数のサイドトーナメントがあり、どれに参加するかは自由。囲碁を打たない日は、近くの街やドイツのお城観光などを楽しむ方がとても多いです。メイントーナメントは持ち時間が2時間半あり1日1局ずつ、計10局打つというプロ棋戦のような長丁場です。腕に自信があり、囲碁好きな方にはなんともうれしい大会です。一方でサイドトーナメントは気楽で、ドイツですとビール碁があります。1杯飲むと1ポイント、1局打っても1ポイントで合計を競います。大会のために街のバーには碁盤が常備されています。その他にも「クレイジー碁」という特殊ルールを追加した囲碁大会もあり、これにはあぜんとしました。その中の「トーラス碁」を打ってみました。盤の端と端が1周してつながっている碁盤で対局する囲碁のことで、さすがに頭が混乱しました。

チェスや将棋、ボードゲームナイトから、バレーボール、サッカー、卓球の大会まであります。もちろん囲碁がメインなのですが、サイドイベントから交流を深めるケースもあり、ヨーロッパの雰囲気と相まってとても楽しい大会に成長しています。来年はイタリアでの開催です。一度行ってみるのはいかがでしょうか。
コメント終了
Page: [1]

題名
会員名
会員ID :
会員パスワード
コメント

   クッキー保存