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藤井四段ブームで大注目 知られざるプロ棋士の稼ぎと生活
【2017年7月1日 日刊ゲンダイデジタル】

公式戦デビュー29連勝の新記録を達成した将棋の藤井聡太四段(14)を見て、「わが子も」と意気込んでいる親は多いはず。だが、藤井四段のように冷静かつ確かな大局観を持ったほうがいい。将棋人口は530万人ともいわれるが、プロ棋士は約160人。全国レベルの天才少年の、そのまた「1割ほどしかプロになれない」(日本将棋連盟関係者)という狭き門だ。それなのに、意外と稼ぎは多くない。年間獲得賞金・対局料ランキング3年連続トップの羽生善治三冠(46)にしたって、昨年は9150万円。ソニーの平井一夫社長(役員報酬9億5500万円)の10分の1以下だ。

■平均年収は上場企業よりも低い

ひたすら実力の世界だから、3位の佐藤天彦名人(29)のように、14年966万円→15年2616万円→16年5722万円と急増するプロもいれば、4位の糸谷哲郎八段(28)のように、1563万円→5531万円→3543万円と乱高下するプロもいる。「年収1000万円超えは一握り、全体の平均は500万円台ぐらいでしょうね。ゴルファーと似ているところがあり、勝てなくなったらレッスンプロとして稼がないといけない」(前出の日本将棋連盟関係者)

ちなみに、ソニーには年収1億円以上の役員が10人もいて、社員の平均は935万円と、プロ棋士を上回る。というか、東京商工リサーチの調査によると、16年の上場企業3079社の平均年収は約606万円。業種別で最高は金融・保険業の703万円で、以下、建設業672万円、不動産業664万円と続く。それじゃあ囲碁はどうかといえば、賞金ランキング6年連続トップ、井山裕太六冠(28)の昨年の獲得賞金額は1億3494万円だ。羽生三冠を超えている。「ただ、囲碁のプロは約460人と将棋より多いので、全体の平均年収は将棋よりやや少ないぐらいでしょう」(日本棋院関係者)

史上初めてサラリーマンから編入試験でプロに転身した将棋の瀬川晶司五段(47)や、戦後最年長の41歳でプロ入りした今泉健司四段(43)のように、夢を追う生き方もある。が、大局的に見れば、狭き門のプロ棋士より上場企業のサラリーマンを目指した方が、わが子がなれる可能性が高い上に割がよさそうだ。
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