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会津中央病院・女流立葵杯 復興願い福島で決戦
【2017年5月12日 毎日新聞東京夕刊】

東日本大震災からの復興への願いを込めて始まった囲碁の棋戦があります。福島県会津若松市を舞台にした「会津中央病院・女流立葵(たちあおい)杯」(毎日新聞社後援)。2014年5月に「女流囲碁トーナメント戦」としてスタートし、4回目の今年、女流棋戦序列2位のタイトル戦に格上げされました。5月20〜21日に本戦、6月16、18日に決勝が共に会津東山温泉の老舗旅館「今昔亭」で行われ、大盤解説会やプロ棋士による指導碁なども予定されています。 2011年の震災当時、東山温泉には2000人を超える人々が避難し、今昔亭の姉妹旅館「原瀧」では1年間にわたり260人が避難生活を送りました。二つの旅館は囲碁のタイトル戦や前夜祭が行われる施設。3月11日の震災から1カ月後、日本棋院の小林千寿常務理事が「何かできることがあれば連絡をください」と電話を入れると、数カ月後に旅館の責任者から電話がかかってきました。 「将棋盤を出して将棋を指す人の姿が見られるようになりました」

震災発生から時間がたつにつれ、避難をしている人々に少し心のゆとりが生まれたのでしょう。連絡を受けた小林さんは日本将棋連盟と連絡を取り、現地でのイベントを企画。翌年7月9日、会津若松市内で「がんばれ福島、復興への一手!」と銘打った「囲碁・将棋まつり」を開催しました。日本棋院からは武宮正樹九段、尾越一郎九段、宮崎龍太郎七段ら、将棋連盟からは中村修九段、片上大輔六段ら多くのプロ棋士が手弁当で参加し、復興への希望を感じさせるイベントになりました。「予期しなかった避難生活に、被災者も受け入れ側も戸惑う日々だったと聞きます。そんな中で、将棋と碁が何かのお役に立てればという願いを込めて実施したイベントでした」。小林さんはそう振り返ります。

会津若松はもともと囲碁や将棋が盛んな土地です。まつりは、やがて地域対抗の囲碁大会に発展し、プロ棋士との交流が進む中でプロの女流棋戦「会津中央病院杯・女流囲碁トーナメント戦」創設へとつながりました。中心になったのは、地域の拠点病院である会津中央病院や今昔亭などを運営する一般財団法人温知会(南嘉輝理事長)でした。そして今年、棋戦はバージョンアップされました。名称も会津若松市の花・タチアオイから取った「女流立葵杯」に変わり、決勝は2日制一番勝負から1日制三番勝負に。さらに来年からは、前年の覇者と予選・本戦で勝ち上がった棋士とが対局する「挑戦手合い三番勝負」となります。既に全女流棋士による予選が終わり、本戦に進む8人が決まっています(うち2人はシード)。5月20日に8人がそろって会津若松市入り。2日間の対局で決勝に進む2人を決め、6月16日から再び同市で女流立葵を決める決勝三番勝負が行われます。会場となる今昔亭の村松稔社長(温知会副理事長)は、復興への力となった囲碁の役割を振り返りながら「会津には観光地も温泉も、おいしい食べ物もあります。ぜひお越しください」と話しています。
  ◆   ◆ 
プロ棋士による指導碁など本戦の関連イベントは日本棋院のウェブサイトでご確認ください。(http://www.nihonkiin.or.jp/event/area/other/4_18.html)

主催 公益財団法人日本棋院
協賛 一般財団法人温知会
協力 一般財団法人関西棋院、福島民報社、囲碁将棋チャンネル、日本棋院福島県支部連合会
後援 毎日新聞社
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