トップページ > 記事閲覧
本木克弥八段「自分のペースで打ち、戦いの読み合いを挑みたい」
【2017年5月3日 上毛新聞】


本因坊戦を前に気合い十分の本木克弥八段

囲碁界の6冠を誇る井山裕太本因坊(27)に群馬県藤岡市出身の本木克弥八段(21)が挑む第72期本因坊戦7番勝負の第1局が5月9日、岐阜市で開幕する。群馬出身棋士が七大タイトル挑戦者となるのは初めてで、21歳8カ月での挑戦は歴代3位の年少記録だ。本木八段は2日、東京都内で上毛新聞の取材に対し、「自分の長所である読みを生かして挑戦したい」と抱負を語り、「自分のペースで打ち、戦いの読み合いを挑みたい」と意気込みを語った。

東京・市ケ谷の日本棋院対局室「幽玄の間」で取材に応じた。本木八段は「当初は戸惑いが大きかったが、次第に落ち着いてきた。今は7番勝負に向けて策を練っている」と述べ、平常心で準備に取り組んでいることを明らかにした。公式戦初対局となる井山本因坊については「憧れの存在。読みの正確さに強さを感じるが、自分も読みが強み」として真っ向勝負を挑む気構えをのぞかせた。

―初の挑戦手合を1週間後に控える。どんな心境だろう。
 挑戦者に決まった時は戸惑いが大きかったが、3週間ほど経過し、だいぶ落ち着いてきた。いつも通りの生活を心掛け、7番勝負に向けて策を練っている。地元の群馬のファンにも期待してもらっているので(挑戦者として)恥ずかしくない碁を打ちたい。

―井山本因坊は囲碁界初の七冠を一時達成した。公式戦初対局だが、どんな戦いを挑むか。
 井山本因坊は憧れの存在だ。練習対局で打ったことがある。全ての局面で強いが、何より読みの正確さに強さを感じる。序盤は型にはまらない柔軟な打ち方をできるので、やりやすい相手ではない。ただ、自分の長所も読みの強さだと思うので、戦いになってからの読み合いがポイントになる。そのためにも序盤は自分のペースで打っていきたい。

―本因坊戦の対局は持ち時間各8時間で2日間に及ぶ長丁場だ。
 プロ棋士になって初めての七大タイトルの記録係が5年前の本因坊戦だった。この時にタイトルを奪取したのが井山さん。自分のタイトル初挑戦が本因坊戦というのは縁を感じる。2日間にわたる対局は初めてで、封じ手で初日の勝負を一時中断する「打ち掛け」も経験がない。不安というか戸惑いはあるが、何事もやってみなければ分からない。集中力を長時間保つには体力が要る。挑戦者に決まってから週2回はスポーツジムに通ってランニングをして備えている。

―あらためて群馬のファンにメッセージを。
 自分自身も小学生時代は伊勢崎市出身の三谷哲也七段(31)の活躍に憧れて育った。囲碁を学ぶ子どもたちの刺激になるような碁を打てるよう頑張りたい。

【プロフィル】
 もとき・かつや 藤岡二小1年の時にアニメの影響で囲碁を始める。16歳でプロ棋士合格。2014年に広島アルミ杯若鯉戦を制し初タイトル。15年に本因坊戦リーグ入り。今年4月に本因坊戦挑戦者となり、八段昇段。日本棋院東京本院所属。

《本因坊戦》
 囲碁七大タイトル戦の一つ。棋聖、名人と並ぶ三大タイトルで、7番勝負(ほかは5番勝負)で行う。第72期は9、10両日の岐阜市を皮切りに、島根、埼玉、福岡、大阪、三重、静岡各府県で7月まで開催される予定。
コメント終了
Page: [1]

題名
会員名
会員ID :
会員パスワード
コメント

   クッキー保存