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「日本囲碁界の妖精」仲邑菫二段、最年少優勝なるか
【2022年4月12日(火) 朝鮮日報日本語版
 日本の囲碁界では13歳の少女の初タイトル獲得を、かたずをのんで見守っている。400人余りいる日本のプロ囲碁棋士の中で最年少の仲邑菫(なかむら すみれ)二段が4冠王の藤沢里菜女流名人(23)と14日から第33期女流名人戦三番勝負に挑むのだ。もし勝てば、仲邑二段は13歳1カ月で優勝という神話をつくることになる。李昌鎬(イ・チャンホ)九段(14歳1カ月)、朴廷桓(パク・ジョンファン)九段(14歳10カ月)、中国の楊鼎新九段(13歳6カ月)よりも速い。もちろん、女性棋士だけが出場する制限棋戦を総合大会と同じように比較することはできない。だが、申真婿(シン・ジンソ)九段の初優勝記録(13歳10カ月)も制限棋戦(第2期河燦錫〈ハ・チャンソク〉国手杯)で生まれたものだ。日本の囲碁界にとって仲邑二段は夢であり希望でもある。しわくちゃになった自尊心をこの天才少女が取り戻してくれると期待が大きい。愛らしい顔立ちもあって、「囲碁界の妖精」として人気絶頂だ。日本は1990年代半ばまで自他公認の「囲碁のメッカ」だったが、それ以降は韓中に押されている状態だ。2018年、切歯腐心していた日本の囲碁界のレーダー網に仲邑二段がキャッチされた。9歳だった仲邑二段は韓国に囲碁留学中だった。日本の囲碁界はこの天才少女を呼び戻し、「英才特別採用推薦棋士」としてプロ棋士入りし、集中的に腕を磨かせるプロジェクトを素早く実行した。プロ入り後も住居を関西から東京に移して勉強できる環境を改善するなど配慮し続けている。2019年、10歳の誕生日の1カ月後にプロ囲碁棋士になった仲邑二段は、光の速さで成長してきた。適応期間が必要だろうという予想とは違い、デビュー1年目から17勝7敗を記録した。最年少公式戦(10歳1カ月)、最年少二段昇段(12歳0カ月)などあらゆる足跡が新記録だった。11日現在のプロ通算戦績は95勝48敗(今年14勝6敗)だ。12歳だった2021年、第4回呉清源杯世界女子囲碁選手権で驚がくすべき出来事が起こった。世界大会優勝の経験がある金彩瑛(キム・チェヨン、韓国女子ランキング3位)に白で勝ったのだ。今回の女流名人戦の過程も驚きだ。台湾の謝依旻七段や上野愛咲美四段らそうそうたる先輩棋士たちを次々と破った。藤沢女流名人が持っていた日本最年少タイトル挑戦記録(15年11カ月)も3年近く縮めた。小林覚九段は「想像よりも恐ろしく早く強くなった。囲碁の内容も非の打ち所がない」と、張栩九段は「対局を重ねるたびに成長し、今の実力は計り知れない。だが、仲邑二段が9歳の時に試しで対局した際に感じた衝撃を思えば、驚くことでもない」と話した。一流棋士たちも賞賛一色だ。報道各社もいつになく興奮している。挑戦者に決定した3月31日には有力紙や放送局、通信社など100を超えるメディアが競い合うように報道した。対局が差し迫ると、大手新聞各紙で「全面特集記事」も相次いで組んでいる。日本棋院発行の月刊誌「碁ワールド」の志村朋彦編集長は「囲碁とは無関係のメディア各社による仲邑二段のインタビューが爆発的に増えた」と語った。仲邑二段は「こんなに早くタイトル戦に出られるとは思っていなかったので、うれしい」と決戦を楽しみにしている。ディフェンディング・チャンピオンの立場にある藤沢女流名人は「こんなに圧倒的なヒール役(悪役)になるのは初めて」とプレッシャーを感じていることを語った。2人は8日の「SENKO CUPワールド碁女流最強戦2022」で初めて対局に臨み、藤沢女流名人が逆転勝ちした。「すみれ旋風」は「企画商品」を「大ヒット」につなげた事例という点で韓国でも参考になる。プレッシャーの強いプロ入り試験を免除した英断が特に見事だったという声が多い。韓国代表チームの 睦鎮碩(モク・ジンソク)監督は英才入団大会(プロ入り試験)について、「上限年齢を大幅に引き下げて10歳前後の才能ある子どもたちを早期発掘・育成しなければならない」と力説してきた。現在の基準である16歳のプロ入りでは既に遅いということだ。


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