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予測できない手、次々 AIは名人勝利90%超
【2021年8月26日(木) 朝日新聞(大出公二)】
 最強の挑戦者か、絶対王者か――。第46期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)では、井山裕太名人(32)=棋聖・本因坊と合わせ三冠=に一力遼天元(24)=碁聖と合わせ二冠=が挑みます。第1局(東京都文京区のホテル椿山荘東京)の模様を、タイムラインでお伝えします。持ち時間は各8時間の2日制。26日夜に打ち掛け、27日午前9時に再開し、同日夜までに終局する見込みです。(村上耕司)

18:00
 午後6時、ユーチューブチャンネル「囲碁将棋TV―朝日新聞社―」に、立会人の張栩九段と新聞解説の芝野虎丸王座が登場。1日目を振り返り、封じ手を予想した。午後からの左辺をめぐる攻防は「1手1手、予測ができない意欲的な手が続いた」と張栩九段。しかし結果として、先番の挑戦者は左下隅から下辺にかけて築いた厚みを生かせず、「効率の悪い形になってしまった」と解説する。気になる挑戦者の封じ手の予想は。2人の候補手は一致して黒Aだった。未開の上辺に展開し、開拓しようという手だ。芝野王座も「白やや有利」としながらも、張栩九段は「(挑戦者は)何もできずに簡単に負ける棋士ではない」と2日目の粘りに期待した。(尾崎希海)

17:32
 午後5時32分、77手目を考えていた一力挑戦者が封じ手の意思表示をした。別室で封じ手用紙に記入し、封をして立会人の張栩九段に手渡した。消費時間は先番の挑戦者が3時間50分、井山名人は3時間42分。27日午前9時に再開する。(村上耕司)

17:05
 AIの形勢判断が、名人へ急激に傾いた。挑戦者は▲に一撃し、孤立する白石3個の一団を破壊しにハンマーを振り回したが、空振りに終わったようだ。▲に名人は白1以下、牛若丸のようにひらりと挑戦者の剣先をかわす。そして挑戦者の黒12を見たAIは、黒の勝率34%から7%に急落した。どういうことか。張栩立会人によると、黒16まで左辺で稼いだ陣地は、下辺にズラリと並んだ石を並べた黒の鉄壁を生かし切れていないというのだ。鉄壁は相手を攻めてこそ、威力を発揮する。ところが▲以下の黒石2個は死に石になり、一団の白は、黒にたいした利益を与えず安泰を得たという。挑戦者は苦戦を自覚したようだ。記録係の辻華初段によると、対局中にがっくり首をうなだれる姿は繰り返し見られたという。局面を打開できるか。(大出公二)

17:00
 午後5時になり、封じ手時刻まであと1時間となった。対局規定により、午後6時の時点で手番の方が次の手を封じることになっている。ただし、午後5時半になれば、手番の方はすぐに次の手を封じることができる。ここからは両対局者が封じ手を見据えて着手することになりそうだ。73手まで進み、AIの評価値は、黒5.9%、白94.1%を示している。(村上耕司)

16:00
 午後4時現在、消費時間は名人3時間7分、挑戦者2時間53分。時間の戦いはほぼ互角だ。左辺の戦いは、のるかそるかの剣が峰かとみられたが、無事に分かれそうな空気が出てきた。最強AI「絶芸」の形勢判断は名人の勝率60%。これも人間的にはほぼ互角だ。


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