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15歳の大器、視線は世界 福岡航太朗二段 プロ3年目でブレーク、名人戦予選Aへ
【2021年8月14日(土) 朝日新聞デジタル「月刊囲碁」(大出公二)】
 史上最年少棋士、仲邑菫二段と同期の福岡航太朗二段がプロ3年目の今年、仲邑と軌を一にしてブレークを遂げた。各棋戦の上位で活躍する15歳は、現在の自分の立ち位置に満足していない。むしろ焦っているという。2019年プロ入り同期組は仲邑の話題一色に染められた観があったが、福岡も日本囲碁界を背負う大器として嘱望されていた。仲邑と同様に小学生時代に囲碁強国の韓国で修業し、中学1年で日本棋院の院生になると114連勝など圧巻の勝ちっぷりで、一気にプロへの階段を駆け上がった。プロ1年目は9勝6敗、2年目は15勝9敗。悪くはないが突き抜けてもいない。それが3年目の今年は13連勝を含む28勝5敗。過去2年分の勝ち星を早くも超えた。来期のリーグ入りを争う名人戦は、4連勝して前期届かなかった予選Aに進出した。枠抜けをかけた予選B決勝の相手は、藤沢里菜女流本因坊。図1の福岡の白1は、黒2と相手の弱点をわざわざ補わせる異筋の一着だ。それをわかって、あえて打つところに勇気と創意がある。意図は参考図黒1から3と出れば、白二子を献上して白6まで外回りをとる。このとき△と▲の交換が、黒A以下Cの反撃を断つ利かしになっている。白6のあと△にハネても、絶対に▲とは受けてくれない。Aに切られて大損だ。意図を察して藤沢は図2の黒39から戦ったが、白の流れがいい。白62、64の小技で断点を補い、白66のぶっかけにつなげる。中央の白二子を犠牲に周囲を固め、絶好点の白76へ、右辺の黒の攻めにまわる名調子。主導権は白のものだ。優勢を自覚した福岡は万全の石運びで藤沢の追い上げを許さず、快勝した。トップ棋士に肉薄しつつあるが、「ずっと焦っている」という。「15歳の棋士というのは、世界では決して若くない。僕と同世代の中国の棋士は世界最高峰の甲級リーグに入って活躍しています。僕は去年、その一つ下の乙級リーグに参加して1勝7敗でした。それがいまの実力です」。視線は世界に向く。長く中国、韓国に後れをとっている日本囲碁界の再興には、世界チャンピオンが輩出しなければならないと15歳は考える。「韓国修業のときから、同い年なのに実力差があった。なんでだと思って、日本にいても、向こうはどんな勉強をしているのか気になる。彼らに勝つには、勉強法を考え直さなければいけないなと」。昨年、日本ナショナルチームの育成選手を辞退したのも、福岡なりの考えがあるのだろう。12日の名人戦予選Aの1回戦は、過去2期連続で最終予選決勝に進んでいる安達利昌七段を破った。最終予選入りをかけた次戦、相手は趙治勲名誉名人だ。
 ◇「月刊囲碁」は、毎月第2土曜日に掲載します。


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